中長期施策としてアフターコロナで起こる出来事について複数回にわたり記載しているが、今号では「宿とEC(ここでは狭義にオンラインショッピングと定義する)」について述べたいと思う。
コロナ禍で躍進したものの一つにECが挙げられるであろう。特に昨年は「巣ごもり消費」とも呼ばれ、外出を制限される中で、気軽にショッピングができるEC利用率は飛躍的に増加した。ECの便利さを体験した人は、コロナ収束後も使い続けるであろうことは想像に難くない。
そもそも、ECの強みは、どこにいても日本中(世界中)のものを手軽に買えるという点にある。これは、地域の名産品を日本中(大げさに言えば世界中)の人に販売するチャンスがあるということであり、地域の名産品の販売チャネルを増やす有益な策であると言える。もちろん、ECを始めれば、即繁盛ということではないが、少なくとも良いものを持っている地域の名産品を日本中の消費者に売ることができる機会を創出するという点において、ECはその可能性を開いてくれることは間違いない。
その中において、宿とECは非常に相性が良い組み合わせである。というのも、宿というのは、その地域にとって「ショールーム」的な価値があるからである。どういうことかというと、ある宿に宿泊し、そこで食べたものや、触れたものや、販売しているものを目にして、その地域の名産品を認識するということは、誰しも経験があるかと思う。これは、宿が地域の名産品を自ずと紹介しているショールーム的な価値を有している証拠である。
したがって、宿こそがECサイトを作り、積極的に日本中(最終的には世界中)のお客さまへ物販をしていくことが地域のためとなり、自施設のため(売り上げ増加)になる。そもそも、お客さまがタビマエの情報収集をするため、宿のホームページやSNSには地域の他業種に比べても圧倒的なアクセス数があるというWeb上から見てもプラスな点もある。
現に、コロナ禍から現在において、ECに関する相談が非常に増えている。それは、宿が自分たちの本来的価値とやるべき使命に目覚めた証であると感じている。
なお、本コラムのテーマ「宿とEC」について6月29日にウェビナーを開催するので、ご興味ある方がいれば弊社ホームページからお申し込みいただければ幸いである。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)